アニメだが、お仕事。

たかがアニメである。
たかがアニメを作ることがこんなにも大変だなんて思ってなかった。
寧ろたかがアニメを作ることに、大の大人がこんなにも真剣になっているなんて思わなかった。
傍から見ればただの滑稽なおじさんの姿でしかないのだけど。
「このシーンはね、超可愛く描いて下さい。でもパンツは禁止です」
『パンチラはダメですか。』
「T●Sですから、僕はOKなんですが」
パンツが見えるか見えないかを議論している訳です。
たかがアニメなのに怒る人もいる訳で、ユーザーならまだいいですが、メーカーとかだと大変です。
「このキャラはこんな台詞は言いません!」
『はあ。。。(って言うかシナリオ読んだ時言えよ)』
「直してください」
『話が繋がらなくなるんですが。』
「全部直してください」
『そうすると期間予算等は仕切りなおしになりますが』
「もう発表しているので、発売日はずらせません」
『そもそも今日は納品に来ているのですが』
「これでは納品は認められません、一週間もあれば直せるでしょう」
『・・・(DQNキタコレ!!)』


とかあるに違いないのです、今のは全て妄想です。
そういうことにしといて下さい。


で、mixi内での情報提供が実はアニメ関連会社社員による宣伝だったという記事読んで笑った訳ですが、
正直関連会社のOLなんてそんなもんでしょう。
つうか、普通の人が徳間書店に入って「やった!これでユメの小説家編集!!」とか思ってたらアニメージュに配属になったりする場合だってあるでしょうし。
結構苦痛でしょうねぇ。
GD●という所自体が凄い特殊な展開で発展したアニメ会社で、
アニメ会社というより企業の会社転がしの末に発展していて、
アニメを作品ではなく完全に消費型の商品として見ているのが現在の戦略だと思うわけですよ。
だから関係会社の人がそういう見方をしていてもいたし方ない。
が、それを個人発信することは現在において容易であるが故に、危険を伴う。
行き着く先は先のコミケホットドック販売員のBLOG騒動とかである訳だが。
そう、これは個人発信ではなくなっていると言う事に気付くか否であって、
電通とか博報堂の製作*1Pはマジでこんな事を思っているし、
我々制作者側に対しても、消費者(オタク)に対してもありありとそういう態度を取る。
無駄に見下した態度と、新卒そこそこの若造に上からモノを言われ、それに対する制作Pのヘコヘコした態度は哀しいを通り越して滑稽である。
最近はそういった所謂代理店を通すものも減って、メーカー*2からの直接オーダーが殆どではあるのですが、其れが故の弊害も出つつあります。
今までは代理店による中間搾取の問題がとりだたされていた訳なんですが、其れが無くなった代わりに、ソフト(DVD)が売れるものの商品化(アニメ化)が進んでいます。
ソフトが売れるというのはどのような層が買っているかとか、どういった物を求めているかという市場調査で判別される訳で、DVDというある程度値の張るモノを買う層と言うのはおのずと絞られてくる訳で。
お金を持っている層が求めていたのが「萌え」だったというだけで。
こんだけ萌えアニメが乱立した理由は簡単に言うと「売れる」からだったんですが、勿論買うほうもお金が湯水のようにある訳ではないですから、1作品辺りの販売数が減ってきました。
ソフトの市場規模自体はそんなに変わって無くても、ソフトの数が多ければ、分配が減るという、今エロゲ業界が直面している状態と全く一緒でございます。
そうするとどーなるかというと、確実に販売数の読めるものが増えてきます。
オリジナルは殆ど無くなっていくでしょう。
原作モノが流行り、アニメの本数が減るというのは定期的に出てくる現象ではあるのですが、今回はそろそろアニメの本数自体が収束に向かうというのではなく、新作が減るようです。
一時期1クール13本が主流でしたが、今上がっている企画の段階等を含めますとこの1年は2クール26本が主流になり、新作は減り、原作モノ、リメイク第二シリーズモノが増えるようです。



だらだらと脱線したが、メーカーや製作側の制作側や作り手たちに対する姿勢は本当に馬鹿にした『キモヲタ、もうちょっとマシな格好できないのか』的態度であるのがよくある光景で、作り手達は作り手達で(特に絵描き)『俺らがいないと作れないくせに、すかしやがって』とか思っている事がよくある。
でも、実際作り手達はあまりにも世間の目を気にしなさすぎだし、せめて職質はされないような格好で仕事するぐらいはいいと思うし(金が無いのは分かるが)、製作側も作品に嫌悪感をもってしまうのは仕方ないけど、それを出さなくてもいいと思う。
どっちもどっちであるのだが。
メーカーは代理店に比べればバカにした態度はないものの、作品の内容に対する口出しは異様に多い。
作品のクオリティー=商品の価値であるからしょうがないのではあるが、それにはそれなりの金と期間とスタッフが必要な訳で。
難しいですね、作画部門というのはお山の大将になりがちな部署で他の所の事を知らなさ過ぎます。
お金の動きだとか、他の所がどいういう仕事をしているのか本当に知らない人は知らない。
勿論上の人になってくるとおのずと関わるので知ることになるのですが、知らないまま仕事をして、自分の貰っているお金が普通だと思っていたりします。
そういう点では製作側は作り手側より多くの情報を握っている訳で、お金も出しているから生殺与奪を実は握っていたりするのですが、多くのアニメーターはその事よりも直接お金を支払ってくれている制作プロダクションに文句を言ったりします。
はっきり言って下請けには分配の権限はありますが、その分配もギリギリのラインでの分配です。
難しいです、ワタシは無駄に他の部署にいたので下っ端の癖に情報だけは敏くなってしまっているので。
でも作品によって予算というのは本当に差があるのです。
それは売れるか売れないかが分かっているかどうかの差だけです。


でも、芸術性の高い作品がいい作品で、萌えアニメが悪い作品ではないんですよ。
攻殻がカッコよくて、うる星はキモイと思うような人はちょっと嫌だなーと思うのです。
どっちもキモイおじさんが真剣に作ったということだけは変わらないんですよ。
それの画を描いてる人たちも、色を塗る人も、現像する人も、おっさんだったりおばさんだったりが生活がかかって作ってた事には変わりないです。
そう、たかがアニメなのにねー。

*1:前にも言ったが製作と制作はやっていることが違います。お金を出しているのが製作元、それをうけて作っているのが制作。製作>>>>>越えられない壁>>>>>>>制作なのである

*2:アニメソフトメーカーの事。バン●イビジュアル、アニ●レックス、ジェネ●ン等